
マイナス要因は精神力でカバー
アントニオ猪木は自分を信じ切っている。自分の思ったことは必ず実現できると思いこんでいる。どう考えても実現不可能なことでも、「大丈夫、闘魂でなんとかする」と考えている。物理的、経済的、常識的な可能性はさておき、闘魂さえあれば、夢は実現できるという「猪木算」で、世の中を割り切っている。
以前、韓国の動物園で、なぜか虎に戦いを挑んで重傷を負った青年が、新聞記者に「なぜ、虎なんかと戦ったのか?」と問われて、「精神力で勝てると思った」と答えたそうだ。「猪木算」とはそういうことだ。猪木に理由などいらない。たぶん、猪木がこの記事を読んだとしたら、この青年は精神力が足りなかった、と考えるだろう。実現の可能性が5割でも、四捨五入すれば10割。常にこの姿勢で、どう猛な虎を打ち負かして来た。その姿にファンは熱狂し、猪木をカリスマへと押し上げていった。
さらに猪木の才能の優れている点は、ライバルとなるどう猛な虎を、作りだしていく企画力だ。どう猛な虎を作る上でもっとも大切なのが、戦いのテーマだ。つまり、なぜそいつと戦うのか?という理由がハッキリしていればいるほど、ファンは戦いに、感情移入しやすい。猪木が作った基本的なテーマは「史上最強の男」である。実に分かりやすい。しかもそれは、猪木が史上最強を目指すのではなく、今現在猪木が史上最強であることを証明する戦いなのである。自分がNo.1だと宣言してから勝つそのヒーローの王道を行く、自分演出のセンスはさすがだ。
猪木を見習え。どんな欠点も精神力でカバーだ。虎だ、虎になるんだ!以上!
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